子供のころときどき親に叱られたような記憶があります。「泣くんじゃない、男は泣かないものだ」と。何十年も経て、昨年、泣く男の話を聞きました。それはJINSと言うメガネのSPA(製造販売)をしている田中仁と言う人のことです。きくところによると、田中社長は当時仕事が思うようにはかどらず、事業は赤字、絶望してユニクロの柳井会長/社長に相談に上がったそうです。そのとき柳井氏は「自分が何のために仕事をしたいのか、わかっているのか」と田中社長を諭したと言います。
それだけでは意味がよくわかりませんが、田中社長は柳井氏と別れてから泣いたと言います。自分の不明を悲しんだのではないでしょうか。そして、決意を新たにメガネの店を再可動したそうです。この出来事はわずか数年前の話です。私はその話を聞いたとき、なぜかピンときて、近くのJINS店を訪ねました。いわゆるリサーチのくせが私の身についてしまったのですね。型どおり検眼してもらったあと、店員は乱視の私に合うメガネは作るのが難しく、「今使っているメガネをそのままお使いください」と言って、押し売り的な態度は全く示さなかったので安心しました。メガネはその商法から見てマージンをたくさん取っているに違いないと判断していましたので、JINSのやすいメガネはSPA故だろうとあたりを付けました、
話は変わって、テレビのBS放送に中で、寺島実朗がゲストを呼んで対談するものがあります。たまたまスイッチを入れてみるとソフトバンクの孫さんがゲストで出ていました。苦労話の中で、孫さんは若いときに肝臓の病気になって医者にあと5年くらいという引導を渡されたそうです、確か25歳のころです。孫さんは「これにはまいりました、私はこれで終わりかと、泣きましたよ」と言っています。そういう時期もあったのかと私も目がうるんできました。
私はもともと孫さんの「時代を切り裂くような、言い方を変えれば、シリコンバレーをそのまま日本に持ち込んだような」ビジネススタイルが好きでした。よって長い間孫さんを応援していました。今、泣いた男二人を俎上にあげてみて、泣く男には投資できると判断しています。偶然かどうか、この経営者が率いる会社の株式は素晴らしい発展をしています。「泣く男探せ」運動でもしようかな。