新しいNISA制度では、どちらが妥当か。いやそもそも妥当なんて言っていいのか?今年からNISA 制度は高額資金に、また長期間に改善された。年金のような非課税の貯蓄を進める国の制度の改変である。
わたしは先日ある雑誌に、アサヒビール(社名はあさひグループ)と旭化成の今期の利益予想を見つけた。偶然にも同名の「あさひ」である。この両社は社名の3文字を除くとく関係はない。いずれも東証の有力上場会社である。
まったく異なる会社を比較するのは道理(意味をもたない)に反するが、わたくしはNISAの初心者であるからして、まずはお許しいただきたい。言うまでもなくアサヒはビールと清涼飲料水の生産会社、また旭は化学製品(繊維製品、医薬品、住宅など)で歴史が長い。
両者ともに海外事業は売り上げの50%に達している。では両者の違いはどこにあるのか?
まず時価総額では、アサヒが2.7兆に対して旭は1.3兆円。つまりビール会社のほうが大きい。純利益予想はビール会社が化成の1.6倍になる。EPSもビール会社が多くて1.6倍。それは営業利益率がビールが8.6%と化成品の4.6%を2倍上回るからである。言いかえれば、ビール事業は悪名高き税金などを勘案しても繊維の2倍近く儲かっていることになる。株価はビール会社が5376円、化成は930円。
ではNISAの入り口にいるわたくしは、どちらを入門の銘柄にすべきだろうか。投資家は多種多様で、ビール大好き人間もいれば、ヘーベルハウス(旭化成の住宅名)に住んでいる家族もいる。住宅、医療品などのコングロを評価する人もいれば、ビールの世界市場席巻に賭ける人もいる。そうこう考えているうちにわたくしが達した結論は、今過去の高値に接近しているアサヒビールよりは景気循環の底に近い旭を指名するべきではないかと思いついた次第。多様な事業をくくって利益を上げるのは大変で、ESG などの圧力を跳ね返さないといけない。ビールを飲んで乾杯などしているわけにはいかない、と気づいた。このようなアプローチを判官びいきと言うかもしれないが、それはそれでいいではないか、と思うのだ。