いろいろなプロがいる中で、比較的議論がしやすく、また新聞の読者も納得しやすいのが「不動産投信のプロのはなし」ではないでしょうか。投信や保険会社の中にREITを専門に調べている人たちがいるわけです。その人たちはどこまで専門かわかりませんが(専門というのは不動産会社での仕事の経験があるとか、世界のREITを見てきたとか)、とりあえずは日経紙の「プロはこう読む」などの欄で予想したり意見を述べたりしています。
ほんの数か月前までは、彼らは口々にREIT指数の目標は1700と言っていました。まるで合唱のようでした。最近、この目標を変えてきたプロたちがいます。新しい目標が1900というのです。それはそれなりに理由があるわけです。
1) まず、なんといっても環境の変化が大きいですね。黒田日銀総裁が進行中のアベノミクスの挫折を心配して、さらなる金融緩和策を打ち出したことが刺激要素です。、
2) ついで、その一環としてETF(上場投信)を買い上げて、市場に活力をいれようとしていること、つまり流動性を付与ようとしていることです。
3) 現に巷間不動産取引が活発化して、かつ、優良物件の賃料収入とか配当原資が上昇をはじめていること。
などの理由があってのことでしょうか。
日銀が目論んだインフレ政策はなかなか軌道に乗りませんが、少なくとも要所要所の不動産取引だけは、どうやらインフレ気味に推移しているようです。インフレ導入で慢性デフレ状態を解決しようとした行政は(インフレを回避したいという)健全な国民の前で無言の批判を浴びているのですが、先日、日銀は強引に更なる追い打ちをかけてきたので、サプライズでした。サプライズの出せなかった歴代の日銀が、ついにサプライズを世界経済に与えたという事実は、お見事ですが、私たちには、「このままでは失敗するから苦し紛れの方策」とも受け取れる政策の導入でしたね。物価上昇率、ないしインフレを政府の自由になりうると考えるのは、いかにも幼稚で傲慢。しかしそれを生かし、その恩恵をいやが応でも受ける不動産のREITに投資するのは、「当たり前の帰結」の投資戦術ですね。新聞上でプロは指数が1900にもなると予想していました。その理由にいまのREITの予想分配利回りが3、4%だから、利回り重視の投資家の買いが入ると予想しました。私の知る限り、開設以来REITの利回りと株式配当の利回りを比較したりはしなかったのですが、昨今は違うのでしょうか。また、これからはREITという不動産ではなく、なんといっても取り扱いが安くて楽な J-REIT といってヘルスケアなどの投信も注目を浴びることとになりそうです。
ただ、気になるのはREITにしろ、株式市場にしろ、日銀と、GPIF(年金基金運用のための独立法人)が多額の資金を投入すると言った、わかり切った情報は毒にもなります。あまり頼りにしない方がいいのですが。