2度目の伏見訪問は、1.5キロ重のデジタルカメラ、「ニコンのDf」帯同であります。今回は観光ではなく、殊勝にもカメラ旅行という位置づけなのです。京阪電鉄で「中書島駅(ちゅうしょしまえき)に降り立つと、そこからの駅前通りの一本道は飲み屋街という一種異常な街なのです。普通、飲み屋街はちょっと隠れたところとか、恥ずかしげに町の片隅にあるものですが、ここでは、大阪の影響がもろに出たのか、駅前が歓楽街なのです。一瞬私の頭をよぎったのは、通学とか通勤の時、子供たちはどんな顔をして通り過ぎるのだろうか、という疑問です。これが伏見の玄関口か、、、と失望しました。

駅からしばらく歩くと、お目当ての寺田屋ですが、このはたご屋は無論坂本竜馬が切られたところです。目の前の運河には船がもやいであります。つまり大阪との交流のために当時は船を使っていたということです。竜馬は女に手引きされてこの船で逃げました。地元の人は河川と言っていますが、こんにち両岸をこんくりでかためてあるので、私には運河に見えました。

ともあれ、月桂冠本社の下の運河に船着き場があって、定員が12人ほどの「十石船」に乗って遊覧ができます。私たちはカメラ片手に1000円を払って乗り込みました。船は10分ほど濠川をクルージングしてから、スエズ運河にかかる関門そっくりの終点につきました。そこは運河の中の関門なので、門が二つあり、船がこの中に挟まれたら一方の門を開けて、水位をチョイ右折してから船を大阪の方に出します。そこは宇治川なのです。

今では十石船のとおる伏見の濠川と、宇治川は水位が余りにも違い過ぎて、この関門は使えません。関門の土手に立って宇治川から大阪方面を俯瞰しますと、往時の船を使ったにぎやかな海運がしのばれるというものです。十石船に身をゆだねながら往時をしのんで初秋の伏見を遊ぶのは風流というものです。そうそう、ランチのとき黄桜本舗でいただいた、冷えた大吟醸(グラスで270円)のおいしいことと言ったら!お酒をあまりたしなまない私も、のどをゴクリと鳴らしたものです。

因みにこのあたりはつくり酒屋の本場ですから、水が豊かです。京都から地下を流れてきた水がここでお酒になるのです。京都の水、これが京都の自然環境に影響を与えています。京都は夏蒸し暑く冬は寒い土地です。昔京都にはやった疫病から皇室や庶民を守るため、安倍の清明などの陰陽師が悪魔よけして存在を高めた所以なのです。過酷な自然環境が悪魔祓いをさせるというわけです。