最近三菱ケミカルの社長に外国人が採用されるという動きがあった。また日産自のゴーンさん騒動も終わらないで続いている。武田薬品も相変わらず、構造改革が続きタコ配を続けていて終わらない。いったい経営者の首を外国人に挿げ替えて、果たして経営は好転しているのか。大いに疑問ではある。今から5年前にさかのぼって株価の推移を見てみると、日経ダウで見た株価はバブルのピーク以降おもにアメリカの大統領選挙と中央銀行の金融緩和策を背景にして、歴史上の新高値を記録している。 続いて日本は26000という戻り高値を付けた。コロナというウイルスの災厄に世界経済が直面していても、お金の流れは株式市場にはプラスに働いた。
では、外国人社長が経営のかじを取った過去5年ほどの成果を株価というはかりで振り返ってみるどうなっていたの。大雑把につかむと、それが惨憺たるものではないか、と思えるのだ。日本板硝子の場合1000円近辺から400円に下がっている、また話題になった武田薬品は6000円から3700円に、日産自は1200円から500円に、それぞれに値下がりし、オリンパスは例外的に、1000円から2300円へと上昇している。
会社というものは、トップの首をすげ替えたからといって変わるものだけではないらしい。むろんトップが会社を立派に立て直すこともよくある。外国人がトップになると、まずは社内コミュニケイションがままならない。そして新社長の経営の方針が伝わりにくい。言語の問題もあるし、合理主義が基本の経営哲学が理解できないということもよくある。見たことも聞いたこともない人が、たとえ経営の手際が優れていても、そういう人が上司になって戸惑う日本人経営幹部も多いと思う。
日産自の場合は本来取締役会で解決すべき案件を、取締役のメンバーは手に負えずに外に持ち出して、裁判沙汰になった。日産自の騒動は投資家、マスコミなど声高に議論してきた「ガバナンス」が大会社でも効いていなかった、という哀れな経営が外部にばれた事件だと思う。三菱ケミカルの新社長のお披露目には、新社長ご本人が出席していないというおかしな手続きがあったらしい。やれやれまたか、特例など作らない方がいいのに外国人のために特例扱いしてしまうスタートのまずさ、である。私は経営者は外国人がいいなどというつもりもないし、また悪いとも言えないと思う。ただただ、お互いなかなかなじめないところがあって、経営改革は絵に描いた餅になってしまうことを投資家のひとりとして憂うのである。東と西、日本と外国、なかなか融和できない部分があるということが気がかりなだけである。今の580円の三菱ケミカルの株価は5年後にはいくらになっているだろうか。