昨今、アベノミクスの影響でしょうか、女性の登用についての議論、記事が多くなっています。私は外国会社に20年働いた経験からなんとも違和感を覚えることの一つに、“日本ではいつも女性を弱者として特別視しているということ”です。たとえば、女性専用車両、女性だけのバー、ホテル、パーテイ、デイナーなど。一見女性を大切にして、保護しようとするような印象を受けますが、私はこういう風潮に何か男性サイドのまやかしを感じてしますのです。つまり、男性は女性を軽視するし、評価もしない、相手にもしない、という優位な立場を隠したいのかもしれないからです。その本性を隠すためにわざと女性に優しいそぶりをしているのではないか。

日本は本質的に世界に稀なる“やさしさを身にまとった民族ではないか”と、私は思っていますが、何をいまさら、優しいそぶりをする必要があるのか、と疑問に思います。私の外国会社の友人は聞いてきます「なぜ、日本には女性専用の車両があるのだろうか、それは女性を男性とは違う特別な生きものとみていることではないか、よく女性から反発がでないね」私は答えには窮しますが、「女性自身が自分たちは弱い生き物だ、マイナーだと自覚しているのではないでしょうか、だからそういうものを受け入れるのでしょうね」と答えたりします。

女性はハンデをもって社会進出しています。それは認めなければなりませんが、今取ってつけたように女性の幹部登用を吹聴しているのを見ると、私は苦笑いを禁じえません。まるで、社外取締役の時と同じで、数字で目標設定するなんて、“それは違うでしょう”。先日、日経新聞は住友化学、エステーなど10社の女性登用状況開示企業を紹介しました。各社が女性登用をすることは自由ですが、別に外部に宣伝することでもありません。また、日経ビジネス誌は特集で東芝、りそなホールデイングスなど女性管理職登用の数値目標を特集しました。一部の企業は女性そのものを女性というだけで、宣伝に使っているのですね。

なにしているの? 有能な女性を発掘したら何人登用してもいいし、いなかったら登用しなくてもいいでしょう。こう言ったらなんですが、私が働いていた職場では、女性の就業比率とか、能力などについて、議論したことはありません。有能なビジネスマン(男性だろうが女性だろうが)が働いているだけで、男女比率なんてナンセンスです。そういうことをするから体質が古い会社はすぐわかります。「それでも以前よりは前進しているのではないでしょうか」と私の友人三富正博さん(ヴァリュークリエイト社)はあくまでも前向きです。