またまた余計なお世話欄ですが、最近の三菱ケミカルは全く経営の柱が歪んできているのではないか。もともとそういう会社だったのかもしれないが、新たに外国人社長を迎えて、私は何をするのだろうかといぶかった。とりあえず頭に浮かんだのは、エチレン設備の廃却だ。当然だろう。こんなに苦労して、日本の無機化学の基礎を打ち立てた、エチレンの過剰設備が業界の足を引っ張ってもう長い。海外に目を向ければ、イギリスのICIとか今回の韓国のLG化学のエチレン離れ、そしてあたらしい成長を見込むところへの投資という姿勢は正しいと思う。

無機から有機へ、有機からさらに薬品へ、低利益率から高収益体質に転換しようと試みるのは大手化学会社の経営の観点からも当然の方向転換で、業界の習わしを知らないわたくしたちはいったいこの三菱ケミカルの合理化とか、成長政策はどうなっているのだろうと日ごろ疑問を持っているところです。今更外国人を社長にして、自社内では解決できない問題を、日産自動車や武田薬品、オリンパス、板ガラスなどの例に見るように、外国人経営者に預けるとは、外人経営者に変わったからといって、経営体質が好転するとも決まっていない。いつまで大きな損失を抱えている事業を外国人まかせで、清算しようとする根性はどういったものか。2月上旬のワクチン事業からの撤退発表に続いて、昨日三菱ケミカルはイギリスの化学原料事業から撤退することを発表した。 外国対日本という単純な図式はおかしいと思うが、いかにも日本人経営者の人材不足、責任の取り方、などに問題を残し、この会社には重大な欠陥が見られる。

普通、撤退事業を決めたら、その代わりに成長事業投資計画を発表する習わしであろう。SNSへの投稿によれば、一般株主は「こうなったら減配もやむを得ない」と諦めきっている。が外国人社長ならば、(こういう言い方はよくないが)コミュニケイションの不具合を前提(武器にして)に株主総会も何とか抜け切れると踏んだのだろうか。私たち株主は株価が下がったからと言って、悪い企業だと決めつけてはならない。それよりもESGとかSDGとか、観念の流行に踊りながら、実は足元の経営が行き詰っていることこそ問題で、名門企業の成れの果てを想像するのはつらいのである。