都会を離れてみどりに中にいて、新聞をじっくり読んだりしていると、何か腑に落ちないことに気が付きます。最近話題になっている「サード ポイント」というファンドが筆頭株主になってソニーに経営の改革を要求しています。前期の営業利益850億のエンターテインメント事業(映画、音楽)を分離してNYSEに上場したらどうかと言う提案をしました。平井社長は返事を渋って、臨時取締役会を開いて全員一致で反対しました。投資家の一人としてよく考えれば、NYSEへの子会社上場はソニーグループの時価総額は増えるし決して悪いことではありません。しかも株式資本を85%までソニーが保有できると言うことですから実質の支配権はソニーにあります。

ソニーはファンドが資本のチカラを使って無理な要求をしてきたと思った可能性があります。ソニーはエレクトロニクスと言う最大の事業(スマホ、TV,など)が赤字で、前期1344億も赤字を出しています。ですから、ソニーにとっての問題はエンターテインメントの黒字を増やすことに経営資源を使うことではなく、喫緊の課題はエレクトロニクスを合理化して早く黒字にすることです。今は、エンタメの黒字でエレクトロの赤字を穴うめしているので、エンタメを別会社にして上場することは得策ではないと思ったのでしょう。ですからサード ポイントというファンドの提案に反対したのです。

私は、ソニーには赤字事業を黒字化する命題がどのくらい真剣に取り上げられているのか疑問です。その上、ファンドの提案に“全員一致”で反対したことも少々疑問です。なぜ取締役の中に、広い視野を持ってファンドの提案を評価するものがいないのか。ソニーといううちうちの会議では自由な発言や、行為が抑圧されているのか、どうも変です。ファンド側はソニーの経営能力がまだまだ足らないと考えています。ですから数人の役員を送り込んで経営刷新をすることを要求したようです。別に乗っ取ると言うようなことではないのです。ソニーは乗っ取るだけの価値があるかどうかも今では疑問ですから。

ファンドは経営者がよければエンタメ事業の売り上げと利益は今よりももっと拡大できると踏んでいます。得意のエンタメでもっと収益を上げ、不振のエクトロのほうは縮小均衡を目指せば、トータルでソニーは高収益体質の老舗企業の仲間入りが出来るのです。なんと言っても、不思議なのは、いったいソニーにはファンドの方針を取り入れようとする経営者がいないのはどうしたわけかと言うことです。ちなみに、エレクトロニクスの経営が万一赤字がなくなればソニーは少なくとも今の利益を2倍にはできます。ソニーが株主のための経営を徹底実行できるかどうか鼎の軽重を問われています。