4月上旬、ラーメンチェーンの上場会社「日高屋」が社員のために自社株を贈与すると報道された。日高屋は、あの偉大なコーヒーショップのスタバが私の好みである。なんせ、日高屋の簡単な昼食の「餃子+半ライス」が530円、おいしい味、近所の店、というところから、この両者には共通点が少なくない。少なくともわたくしにとっては、良きライバルである。

日高屋のオーナーの神田さんが4月上旬に日経新聞夕刊の「心の玉手箱」に自叙伝みたいな記事を載せている。私はその記事を読みながら、つくづく思うのだった。「この2社は似ているなー」と。社員のことを大事に思いながら、同時にお得意様についても常に気配りしている。むろん、レストランチェーンだから、そういうオーナーの態度は当然ではある。

日を同じくして日高屋は社員向けに株式の一部を贈与すると発表した。私の心配は贈与しても、贈与税が社員の負担にならないのか、というところ。しかし、さすがである。贈与税がかからない程度に株式数を低く抑えたとある。

自伝によれば、スターバックスのシュルツ会長も上場前には投資家の存在をしっかり受け止めて、決して投資家を裏切らないようにしようと誓っている。特に顧客イコール投資家のこういう図式の業界は、その点が非常に大事である。マクドナルド株もあのコロナ騒動の時期株価が下がらなかった稀有の存在だった。それは家族でマックを食べに行くときに有利になる株主クーポンを投資家に付与していたから。最近マックは値上げしている。多分、いまどき、日高屋もスタバもコストアップには苦労しているだろう。

今時代が変わって、企業のガバナンスを取り上げて、優れた経営モデルを模索しているが、何とも出来が悪い。ESG などとテーマ化して、共通のルールを作って、書類に仕立てて、株主のための経営の姿勢を求めているが、投資家は企業のたくさんの不正な行動を知るにつけ、モラルを失った企業の多いことか、と嘆いている毎日だ。それに比べて、上記のような企業では、一生懸命に顧客=投資家に尽くすという態度がほほえましい。こういう態度こそが、経営の基礎というか原点にあってもいいと思う。