8月3日の日経紙にはキャノンが「2018年にデジタルカメラ部門の製造完全自動化」を達成すると一面に観測記事がありました。CNBCのコメンテイターはそのことを素直に、高く評価していました。何気なくテレビを見ていて、私が気になることがありましたので、ちょっとメモをしてみました。まず、2018年が3年も先ということ、製造設備の完全自動化は製造業では夢ですが、3年先では、いまだ推定の域を出ないのではないか。記事を書くタイミングに考慮が必要ですね。

そうしてもっと気になったことは、熟練技術者に代わってロボットを採用するので、製造コストが2割ほど下がるというくだり。ちょっと待ってください。もしそうなるなら余った熟練技術者はどうなるのでしょうか。理屈を言えば、退社して人件費が減少しなければなりません。キャノンは貴重な人材を他の部署で活用しようとしています。ということは、キャノンとしては、人件費は減らないことになりませんか。その上、ロボット開発の費用がコストアップになっています。次に、気になったのは、この部門がデジタルカメラ部門ということです。デジタルカメラはいま過剰生産で需給が乱れています、その部門をいまさら強化したからと言ってコストが下がる利点よりは、販売価格の下落もあって、コストが上がってくる欠点に目が行ってしまいます。2018年に自動化が完成した時に、商品のマーケットはどうなっているのでしょう。

自動化と雇用は両立するとその記事は主張しています。製造業にとっては一石二鳥のメリットになり、まさに、夢の自動化ではあります。いささか、世代の古い私には、難しい最終組み立てのところで完全自動化ができるのかどうか、想像ができないのです。効果を狙って、かえって費用がかさむという、限界点に近くなるのではないででしょうか、これ余計な心配ですか。