私は長い間、神戸物産を特別な会社だと思っていた。何しろ卸業にあって、「業務スーパー」と言われて収益を上げている。しかも卸専門ではなく、小売りもやっている。大手GMS (マージンの低いスーパー)のような業態から見れば、この会社は抜群の消費関連会社なのである。しかし卸業者が小売やっていいのかな?と疑問もある。だったらお卸と小売りみんなで寄って、たかって激しく競争してごちゃごちゃになって、損ばかりしてしまわないかという疑問もわく。小売業では、歴史的にはドラッグストアがどうどうとスーパー業に参入してきて成功したという例もあり、競争できれば、なんでもありの世界なのだろうか。

業務スーパーは、例えばレストランら向けの食材を(例:カレーライス)を10個入りの箱で卸している。言ってみれば、いま話題の(外国育ちの)コストコみたいな業務なのだろう。この世界は神戸物産(3038)と(株)オーシャンシステム(3096)の2社が上場しているらしく、イオンやいなげやのような低収益の小売業には負けていない。むろん業界大手のセブンアンドアイ(現在外国のいわゆる物言う株主とやりあっている)には負けている。

その神戸物産が、23.4の上半期決算で、純利益で17%の減益になった。為替で損失を出したということらしい。為替というのはめっぽう難しく、ヘッジをかけないと、損を出すことが多い。運が良ければ儲けたりして変動極まりなし。ま、素人の出る幕ではない。今どきヘッジしないで為替で投機するなんて、古い体質にちがいないという印象を受けた。大賑わいの小売業界の中で、隠れた優良企業かなと期待してきたのに、あからさまに為替で損を出したとは、がっかりである。四季報によれば、今期は為替からの収益も期待していたようである。「それはないだろう」ともし私が現役ならば、会社のお偉いさんに詰問していただろう。

ともあれ、為替問題は一過性ならば、業態が優秀なので、下げている株価もしばらくすれば落ち着くに違いない。