夏の暑い日に、なじみの“モスバーガー”で軽いランチをした。一階のカウンターにちかい席で、ハンバーガー、オニポテ(オニオンフライとポテトフライのもりあわせ)をほおばっていると、自転車に乗ったイケメンのお兄さんが入ってきて、ハンバーガーの入った紙バッグを持って出て行った。支払いはしていないようだ。そして 数分後にまた同じようなユニフォームの自転車野郎が、あらわれ、そしてまた数分後に3台目の自転車が。
彼らは同じ柄の黒いバッグを背負っていて、そのバッグには UBER EATS というロゴマークがついていた。「そうか、彼らはウーバー社の食品デリバリー野郎なのか」と理解できた。世の中進んでいる。日本上陸後はアプリでタクシ―を呼んでいたウーバー社のサービスがハンバーガーのデリバリーにまで及んでいたのだ。世間知らずのわたくしは。すっかり驚いた。ウーバー社の大株主というか、オーナーの孫正義さんの肝いりなのか、これは宅配制度につずく新業態といってもいいだろう。コロナ禍の影響で、業態がどんどん変わっていると思う。リモートオフィス、新しい勤務評価、集団行動の規制、催し物の撤廃、など制度とか習慣が変わっていくのは数え上げればきりがない。
アマゾンなどの出現で、すでに物流には大きな変革が訪れていたわが国だ。日航とかJR各社とか人間の運送には大きな変化がみられ、一方で、ランチのデリバリーとか、密の接触は避けるようになった。いまや人間が物を買いに外出するのではなく、モノのほうが自宅に勤務する顧客に届けられることになってきた。新着の会社四季報を紐解くと、いわゆる雑貨というか普通に商品を運送をしていた“運送屋”が新しい商品を運送するようになっていて、一般の企業が業績悪化するなかで、今期、来期の業績も低下しない。9037(ハマキョウレックス)、9057(遠州トラック)、9086(日立物流)、9099(C&F ロジ)、9143(SGホールデイング)など各社がコロナ禍を機会に業態をのばしているようみえる。
新聞には、新業態を支持する記事があふれ、多くの産業では旧業態からの転換を進めている。失業とか廃業も増えているのだろう。世間の慣習や社会制度がコロナ禍でどう変わってゆくのか、予測は難しい。しかし、今やESGとかSGDなどにこだわっている場合ではない、古典的な失業、就職対策を新しい政策の目玉として政権は政策の中心に置かないと、力量のある妥当な人が誰もいないからトコロテン式に総理に選ばれた力の弱い指導者の集団はこの変化についてゆけるのだろうか。