むかし、スターバックスのシュルツ会長がスタバ株の上場前に記者に語っていることが、書籍になって発刊された。それを読んで、私はこの人は「真の経営者だ。上場したら、私はその株を買うことに躊躇はしない」と思った。ことを思い出した。こんかいは上場したての「ほぼ日」(コード3560)のオーナーの糸井重里氏のインタビュー記事を日経ビジネスの1889号で読ませてもらった。

私は糸井氏も「ほぼ日」という会社も知らない。まして上場の動機とか意義など知る由もなかった。ところが比較的長々としたインタビュー記事を読み進んでいるうちに、糸井氏は只者ではないと感じた。今更なんだ、と叱られそうだが、それがこのブログを書く気になった本当の理由である。糸井氏は、趣味の人ではないのだ、また道楽を仕事にしている人でもないのだ。上場が近づつにつれ、責任感が増して、視野が広まってきている。それに関係者の話とかによく耳を傾ける。

仕事は何やら道楽めいてはいるが、会社を優秀な人材を集めて大きくしたいというまともな発想もあり、また利益を無視しない態度も(一部に誤解もあったようだが)したたかではある。上場に際して投資家に責任を感じるというところは、まさにシュルツ氏そのものではないか。簡単なようだが、上場と株主の責任を組み合わせてかんがえられる経営者はそうはいないのだ。確かに、周囲に促されて株主に言及する経営者は多いだろう。けれども自分の言葉で(言葉に置き換えて)上場の意味を語れる人はいったいどれほどいるだろうか。

今日本企業は、ガバナンスについて問われている。私は、糸井氏は、多分、ガバナンスについて(関係者から付け焼刃のごとく耳打ちなどされなくとも)、はっきり理解しておられる人材だと思った。有名人の糸井氏にはたくさんの情報がはいってくる。しかし、彼はそれを自分の懐に入れて整理して、取捨選択する優れた能力がおありのようだ。