今上野でとてもにぎわっているという触れ込みの、ピーテル ブルーゲル展を見てきた。あのブルーゲルとすれば、たいていの人は「雪上の遊戯」とか「田園風景とか」「農作物のかりとり」のような童話からはみ出てきた絵を思い出しますね。バベルはロッテルダムとウイーンの二つの塔をブリューッゲルが画いているらしいので、同じネーデルランド(オランダとは言わないらしいですね)でも、出自が違うものがあるのですね。そして、わざわざ、本物サイズと300%の増幅作品とさらに大きいバベルの塔の模写と、並行して展示してありました。
この絵の完成は1563年で、絵のテーマになった、創世記、聖書の中の神のお告げは紀元前のものです。ですから、はっきり言って、聖書の中身がわからないと、この絵の意味が分からないということになります。日本医にあてはめていえば「天照オオミカミの神話」を1563年時点で日本の画家が描いたということになります。それならば、日本人以外の異国人にはさっぱり絵の意味が分からないでしょう。
つらつら考えると、この塔の評判は、キリスト教の信者が、神のお告げを絵画としてとらえ、信じているからこそ、成り立つのではないかとも思えます。それなのになんと観客の数の多いこと、バベルは西洋世界の神のお告げを示しているのですが、多くの日本人が押し寄せる現状はどういう解釈をしてよいのやら、私はますます謎の世界に落ち込んでゆきました。