ソニーが長い交渉のすえ、いよいよオリンパスに出資することが決まりました。私は出資の形が500億の資金を出して共同会社を設立するというある種の妥協案を見て失望しました。今はこんな段階なのか、ソニーがオリンパスの発行株式の大半を入手するのではないんだ。たった11%なのだ。今の段階では、それはそれでわかります。ソニーはオリンパスの技術がほしいので、資産がほしいわけではない。それに会社丸ごと買ってしまうと、借金を背負うことになります。まだ負債がどのくらい増えるかわからない会社を丸ごと買うのは危険ですし、ソニーにそのような資金的余裕もないのです。ソニーも台所は火の車で、自己資本比率は14.7%に過ぎないのですから到底まともな状況ではないです。
ソニーはちょっとだけ手を出したわけですが、わたし的にはそれはありです。ソニーと比べ、オリンパスのガバナンスは極め付きの不良なんですから。ガバナンスが徹底的に欠けている会社を買うことはそれこそソニーを危うくさせてしまいます。もともと企業文化が違うわけですから、両社がうまく融合することは望み薄のような気がします。ソニーはお金で貴重な内視鏡技術を買ったつもりですが、オリンパス伝統のカネズルの技術をてこにソニーに金を出させて、これだけの技術を持つ会社が我々だけだから、高い金を払ってもらって当然だ、と思っているでしょう。
「ソニーは金がものをいうと思い、オリンパスはそのくらい出すのは当然だ、技術を分けてやる」と同床異夢的な関係になると思います。企業合併の失敗はそういう認識の違いと双方が突っ張れるという力関係からくるものが大きいのです。企業合併はおよそ30%が成功確率と言われています。ソニーの例は合併ではありませんが、手を焼くことになりそうです。合併はまず敵対的で、強いうものがイニシアテイブをよることが成功の秘訣です。
皮肉ですが、9月28日当日のソニーはの株価は前日比10円安、9月19日の高値日136円安で終わりました。一方、オリンパスの株価は前日比26円高でした。つまりお金を出す方の会社が下がっているわけです。前途多難の予感。