日経新聞の有力なシリーズ掲載「私の履歴書」はほとんど読みません。理由はあまり見つからないのですが、たぶん立派な皆様の人生が重くて、毎回付き合うのにエネルギーが必要だから、間引きしてしまうというようなことですね。その中で、最近目を引いたページがありました。19回目のパデユー大学のくだり。ノーベル化学賞の受賞者ほどの研究者が日本を出てアメリカで研究する理由、心情などが私の胸を打ちました。私の場合もアメリカの会社で20年を過ごし多くのことを学びましたが、なかでも「学ぶ環境つくり」の違いは大きい。根岸先生も日本を出て外から日本を見なさいと説いています。「世界は大きい。視野を広げよ」、ということですね。

先生が主張していること、それはグリーンケミストリーです。つまり人体や生態系への環境を最小限に抑えることを目的とした化学、だそうですが、その定義はYESと呼んでいるのです。Yはイールドで生産性、Eはエフィシエンシーで効率性、そしてSはセレクテイビテイーで選択制です。たとえば悪名たかいCO2を触媒に使って役立つ物質に変えること。

そこで私的にも、企業価値を議論する際に普段考えている、ある種のコジツケを披露します。それはGDSと言います。Gはガバナンスですが、ガバナンスの弱い企業には失望します。時には大きな経済犯罪にも結び付くガバナンスの欠如はよし悪しの議論の段階ではなく今や、社会的公器の上場企業には必然ではないでしょうか。

Dはダイバーシテイです。多様性と言われているようですが、事業の分散を図ってリスクを減らすことでしょうか。いや、もっと意味は深いようですが、私の勉強不足のため理解度は浅いのですが。本社移転、外国工場建設、M&A,国際レベルでの経営、などを一流企業は推進しています。

Sはサステナビリテイーというキーワードになります。それは、企業存続の持続性ということで、わたし的には、成長の持続を言います。世界有数の企業で成功している中には50年連続増収益などのとてつもない記録をもっているところがありますが、高い成長を達成しなくても、不断の、一歩ずつの前進を評価したいのです。実際、そのような企業への長期投資家には大きなリターンをもたらしています。