センセイショナルな見出しをつけてしまって、少々お恥ずかしいですが、先だって日経新聞の記事を見て”オヤっ“ と思いました。量販店では地味なタイプのノジマが、なんと、地方銀行のスルガ銀行の株式18%を握って筆頭株主になったという話です。
これはおもしろいです。もともと日本では士農工商といって、商人はいちばん下位の社会的な地位にあって、銀行は常に社会的な優位性がありました。その商人のもとに、(たとえおおきな事故をおこしたとはいえ)、軍門に下ったのが銀行ですから。下剋上なる事件と言ってもいいのではないでしょうか。
現代はトラブル続きの地銀が危機に直面しています。日銀の長々と、というか だらだらというか、終わりなきマイナス金利政策が将棋で言うところの「地銀の経営に大手がかかった」状況なんでしょうね。人材の育成も収益構造の改善も進まない業界で、不祥事を起こしたスルガ銀行に手を出したのはなぜでしょうか。ノジマの社長に「投資家になってみると、いろいろと面白いことがわかってきた」と言わしめています。
本当のことは言えないでしょう。筆頭株主になるには、重い責任をかんじなければなりませんね。はたして小売りの経営者に銀行の経営ができるのでしょうか。しかし、ノジマという量販店経営へのメリットは私たちの想像を超えるものがありそうです。ともあれ、メリット無くして18%も保有するわけはないので、これからのノジマには個人金融とか 通販とか、スルガ銀行の得意の分野の金融ネットの活用が応用問題として期待されるのでしょう。
記事によればノジマにはさらにスルガ銀行株を買い増す資金が用意されているようです。保護され、また管理されてきた古いタイプの銀行経営者を相手に「買収から経営」に移行できないかもしれませんが、少なくともノジマは比較的高値でスルガ銀行の株式を利食いしてしまうことも視野にはいっているのかもしれません。この記事は私にそのような外野の投資家に妄想を抱かせるに十分なインパクトがありました。