3月3日の夕刊に日経紙の田村正之記者がカバーしている分野の、フィナンシアル プランナー(FP)について論じました。わたくしも、FPとは長いお付き合いがあって、またアメリカのファンドに勤めていた関係上、田村さんの前向きな記事は好感を持ちました。いよいよ、日本でもFPが個人資産形成上の支えになったかと、感慨無量です。

どのような事業も採算が取れなければなりません。採算が無ければ、それは政府の事業になってしまいます。FPはいろいろな形があって、その中でも採算が取れるかどうかが一つの課題です。たしかにバックに保険会社とか不動産会社がスポンサーとして控えていれば、手数料収入が増えてFPは採算のいい商品を顧客に推奨したりして採算を取ります。しかし、そのような形は、ひも付きなので中立性に乏しく顧客から嫌われます。

顧客本位、もしくは中立のFPはそれだけで価値があります。相談料収入オンリーでは収入は多くはないでしょう。けれども、収入が少なくても中立を守って顧客本位に推奨を、また相談を進めるのが良心的ともいえるのです。この観点から紹介された6人のFPは立派なお人たちで、中にわたしの知り合いの岩城みずほさんが紹介されていたので、誇らしく思いました。

FP制度は、金融商品や不動産に個人が投資して資産の運用をするためになくてはならない組織です。一般に個人事業なので、団結力が弱くて、苦しそうに営業をしているようですが、いったん顧客に信頼されれば、独り立ちができるようになれます。私も、もともとファンドマネジャーですが、自分の知識とか経験が偏っているために、時にはFPに相談したくなりますが、無論相談料はお払いするのです。アメリカのファンドで育った私ですから、それは当然のこととして受け止めます。なんの問題もありません。

どのようなサービスを受けるにしてもコストはあります。そんな当たり前のことも、サービス業界ではなかなか顧客に浸透してゆきません。ところで、無知で未経験の潜在的な投資家を、なめる人も金融界にいます。彼らはそういう投資家を「バカ」と呼びます。バカは養老孟司さんのみ使っていいのではないでしょうか。これから顧客になるかもしれない人に向かって、また読者でもある投資家のたまごにバカ呼ばわりする業界の人を私は危惧していますし、心底理解できません。