今頃なにを、と多くの専門家に言われそうですが、いまさらながら日立の底チカラには驚いています。最近勉強してみた結果、以下の視点で私は日立が「トヨタとともに、世界と対等に戦える日本の代表的企業になれる」と確信を得ました。

  1. 2008年の7300億に達する史上最大の赤字を計上することで、新しい日立を再建するめどがつきました。そのとき救われたのは、1271億の営業利益は出ていたという事実です。事業売却というリストラでの特損が出ていても、通常のビジネスは壊れていなかったということです。
  2.  半導体、HDD部門などを外部に売却した後は、残った10事業(さらに6事業部に集約か)はすべて収益が出せるということ。これから更なる集中と選択が可能であるということ。その結果として、利益率は更なる上昇が見えてくる。
  3. フロントランナー(子会社がまず切り込む)というテストアプローチを世界の顧客を相手に試みて、そのあとは全事業が一丸となって、トータルソリューションという概念で、製品、サービス、メンテナンスなどを提供する体制ができた。
  4. ベンチマーク企業(指標、目標とする企業を外国に求める)を外に求めて、追いつく戦略を立てる。その外国企業はGEであり、CATであり、Siemensでもある。営業利益率やROEで、外国企業に肩を並べることを目標にする。
  5.  出身や肩書にこだわらないで、実質的に効果のある「社外取締役」を招へいしましたが、その目的は一般に考えられている利益誘導ではなく「幅広い人材」の採用で経営に幅や深みをもたせるということを評価する。
  6.   売り上げや利益率やなどの比較は当然ながら、さらに時価総額までも比較のテーブルに載せて、世界の競争相手と戦う意識が徹底してきたということ。高い技術力や優れた人材を自画自賛してきた従来の企業体質から抜けて「投資家の意見に耳を傾ける」という謙虚さも出てきた。この場合、投資家とは市場でありまた顧客と同義でもある。

デフレのさなか、日本の電機業界は軒並み競争に負けて赤字を出したり、また合併や吸収の波にのまれました。その中で、今や日立は生き残った「1強」と言われていますが、幸い優れたリーダーに恵まれたということでもあります。2015年度は売上10兆円(2012年度は9.0兆円)、営業利益率7%(同4.7%)、純利益3500億円(同1753億円)、EPS 70円(37.3円)を目標にしています。それも、一つの通過点に過ぎないという印象を持ちます。