デフレの最中によく言われていた悲観説には、日本は成長できない、株式も儲からない、投資できる銘柄は少ない、などなどでした。日本という国のシチュエイションを考えればそれはその通りです。日本の成長に絶望した結果、株式投信は魅力がなく、せいぜいETFで、インデックスファンドでも買っているのが賢いのではないかと議論がまかり通っていました。

コストの高い投信を買うよりは低コストのETFを買った方が有利になるということですが、この点は世界的な流行になっていました。その状況は今でもあまり変わっていないかもしれません。このデフレの期間に私たちプロフェッショナルファンドマネジャーは「市場全体を見て希望を失っているのは理解はできる、だからと言って普通株投信の魅力を否定するのはいかがなものか」と主張しました。どんな弱い市場にも、下げ相場の中でも、成長している銘柄はある、「それを見つけて投資すれば、市場はアウトパフォームできますよ」と何回も世間と投資家のみな様に説得しました。

お手元のバイブル「四季報」を参考に「大和ハウス」の例を見てみましょうか。3年前から2013.3期の予想をどのようにしていたか振り返ります。

売り上げ予想の推移:

2012.3期の売上予想 同営業利益の予想
2010.10現在の四季報 16,700億 740億
2011.10現在の四季報 17,500億 970億
2012.07現在の四季報 19,300億 1,210億

ついでに 最新の四季報(2013.1)は2013.3期、2014.3期の予想を下のようにしています。

売上予想 営業利益の予想
2013.3 19,700億 1,252億
2014.3 21,000億 1,300億

すでに2年前から「次の期はもっと増えますよ」とつづけて予想していました。この期間に、2012.3期の配当予想を、20円>25円>30-36円と引き上げてきました。

何を言いたいか。それはちょっとした注意を払えば市場のトレンドとか相場観にかかわらず私たち投資家は好ましい情報を入手できということです。2010年の夏ごろ779円だった株価は2012年の秋には1260円、現在は1550円とまで上昇しています。その間、ETFに注目していた投資家は逃げて 逃げて、逃げまくってリスクを避けようとしていたわけですね。

では、株価が上がってしまって割高になったのではないかというとうの疑問が生まれます。当時の2013.3期のEPS予想は51.8円でしたが、毎期四季報が出るたびにEPSの予想は上昇して、現在は107.1円(2013.3期)と115.8円(2104.3期)にまで成長しています。 2011.3期EPSによるPERは15x、そして現在の2103.3期予想によるPERは14xです。割高になったどころか割安になっていることを理解してください。これで、私たちがETFには興味を持たないで、企業業績を追求することによって割安銘柄を見つけることを仕事にしているヒトたちだと思ってもらいたいですね。