大型増資が発表になると株価は大幅に売られます。そうです。まるで計ったかのごとく。バブル時代は逆でした。それっとばかりに買われたのです。そしてそれが正しいと思っていました。なぜ売られるようになったのでしょうか。それはひとえに「一株あたりの利益の希薄化」と「利益確保のヘッジ売り」が投資家の中にリスク要因として定着したからではないでしょうか。

最近の典型的な例はABCマートです。そして大和ハウス、オリンパスの続きます。空売りは技術的にも正しいかもしれないし、またダイリューションを気にするのも分かります。

しかし、私のようなファンダメンタルズ派にはこのような行為は砂をかむような気持ちになるのです。なぜか。まず増資の理由です。昔は理由なく増資に踏み切る企業が多すぎました。せっかくだから資金を調達できるときに手に入れてしまえと言う火事場泥棒のような市場行為がみえみえでしたので、ソレこそぼったくりとも言えるやり方でした。投資家はなにも知らないままに増資払い込みをして、やられました。

その後デフレ時代はもっともな理由なくしては増資をしなくなったのです。上記の企業はそれぞれしっかりとした資金ニーズがあります。と言うことは、企業の成長を持続したり、高めたりするための増資なのです。そこで一気に売ってしまうのは、せっかくのお宝を手放すのと同じことではないでしょうか。ですからわたし的には大型増資はソレこそ、チャンス到来と映るのです。無論増資による株数の増加割合が一株利益の成長率を上回ってしまうのはいけません。

今年の年初、ABCマートが海外進出を図って社債の発行を表明しました。そのとき、投資家はこぞってこの株を売りました。3700円台の株価はわずかの間に3100円台にまで下がったのです。一体どうしたことかと私は不思議でしょうがなかったのです。ABCはこれから待望の海外市場を狙ってゆくのに資金を集めるのは当然です。それに良く調べますと業績も順調そのもの、増配さえも視野に入っています。国内での販売実績もすばらしい。「ABCもなめられたもんだなー」と私は見えない投資家に向かってつぶやいたのです。