3月8日(土)のオーシャンステークスの結果には、多くのファンがびっくりしたり、がっかりしたのではないでしょうか。世界的にも最高の水準のロードカナロアが引退したあと、その超快速の遺産を引き継ぐのはハクサンムーンだということは自他共に許す結論ということですが、ハクサンはいつもロードと闘ってきましたが、時にはロードを2位に下した(セントウルS)こともありましたので、大衆はそういう結論に達していたのです。

3週後の3月30日の高松宮記念(中京芝1200)を狙って、今はまだ緩めの調教しかやっていませんという意味のコメントが陣営からは出ていました。それがG-3のオーシャンSに出走してきたのだから、ファンはそれじゃ―走れるんじゃないの、これだけの馬だからいくら調教が万全でなくとも、実力からいって勝ってもおかしくない。と思ったに違いありません。それゆえ1.7倍という単勝になったのです。

スタートでポンと飛び出したハクサンは好調に逃げて、3コーナーを回りました。今まで見せつけられた逃げの実力からして、直線では2位以下をさらに離して逃げ切ってしまうとファンは思ったに違いありません。ところが、あっという間に馬群に飲み込まれたのはみなさんが唖然としてテレビに釘付けになったのを、今このブログを読まれる方は思い出していますね。

普通逃げ馬は後ろから追いかけてきた差し馬、追い込み馬に追いつかれると急に弱くなってずるずると後退したような具合で負けていきます。しかし、ハクサンは(私の気持ちでは)他の馬に抜かれても、惜しいところで3着までには残るのではないか、とその強さが尋常ではないと、信じてはいましたので、ゴール近くで画面からいなくなってしまったのは本当にびっくりしました。あとで調べたら(調べなければ着順がわからないくらいに負けたのです)13着ということで、後ろから4頭目でした。

私自身も今のハクサンの体調を過大評価していたのですが、単勝1.7倍という圧倒的一番人気が物語るように多くのファンがハクサンの実力を買っていました。たとえ調教過程が十分ではないにしても2流のスプリンターに負けるはずがないと。しかし、みっともないほどに負けたので、ファンはきっと誰かに、または自分自身にだまされたような気持ちになったと思います。ちょうど佐村河内が音楽愛好家をだましたので、その謝罪の会見をしたのは同じ日だったのです。G-1を狙って臨戦過程にある有力馬は本気で走らない、走れないという教訓をまたまた思い知らされた純情なファンでした。