ことしも競馬のダービーが終わった。新聞でお判りのように、優勝したのはシャフリヤール(父デイープインパクト)で、鼻差の2着に入ったのが単勝1.7倍の大本命のエフフォーリア(父エピファネイアーその父はシンボリクリスエス)だった。この2頭の激闘は見ものだったが、へそ曲がりのわたくしの関心は、1馬身半の差で3着に滑り込んだ、父バゴの仔ステラヴェローチェにあった。なぜバゴかといえば、この馬こそが父ヨーロッパ系の血をひいた、欧州系の代表馬で、父バゴは日本競馬界のあこがれの的あの凱旋門賞まで取っているのだ。欧州系の血統といえば、まず(1)重馬場に強い、次に(2)スタミナ豊富で長距離向きで、(3)瞬間的なスピードは持ち合わしていないなどである。ということは、日本ダービーのような2400米には距離適性があるが、ゴールまでの最後の200米を鋭い足で相手を抜生き去るなどといった器用な加速性能は見られない。
世の中、デイープインパクト(父はサンデーサイレンス)だらけの競争馬の中にあって、愚鈍といえば言いすぎだが欧州系の粘り強い走りを見せている、人気薄の馬たちに(わたくしは)どうしても興味がいってしまう。今回このバゴの仔(クロノジェネシスもバゴの仔で、秋華賞2000米や宝塚記念2500米で、勝った)がすでに3歳からの急成長の特色を出して3着に入ったことは、とても目覚ましくて、私はうれしいのだ。
で、競馬界に提案だが、どうしても凱旋門賞を取りたければ、バゴの仔を育ててパリのロンシャン競馬場(深い草に覆われた、湿ったコースが特色)などに連れていけばいいのではないか。競馬は血のスポーツというのはそういうとこにあるのだろう。
競馬の世界は同じ血統同士の結婚は避けている。つまり、よくは知らないが劣性遺伝を嫌っているのだろう。勝つことばかり(賞金第一)を狙いにして、血統の弱点を放置したら、将来は危ういということは誰でも知っている歴史の事実なのではないか。
日本の競馬は一時父サンデーサイレンスだらけになった。そして今はそのサンデーの血を引くデイープインパクトだらけである。人間社会がダイバーシテイを叫ばれているに反して 競馬の世界は同じことの繰り返しではないか、情けないと思う。