中日ドラゴンズの改革が始まりました。落合元監督が「お役にたつなら、、」と言ってGM (ゼネラル マネジャー)という、日本ではあまりなじみのない役職に就くことになりました。落合さんはブラッド ピットが主役を張った映画「マネーボール」を見ていたのです。私も今年に入ってから暇に飽かせて、この映画をスカパ―で2度見ています。実話をもとにしたこの映画は、通常の野球の映画を凌駕するつくりになっています。かつてのオークランド アスレチックスが予算も少なく、ス-パースターもいないなかで苦難の道を歩んで、リーグ優勝を成し遂げた実録をブラッド ピットふんするGMの目を通して描いた野球映画の傑作(だと思いいます)

主役のブラッド ピットはオークランド アスレチックスの名物GM ビリー ジーンに扮して、存分に力を発揮してチームはどん底から24連勝を果たし、リーグ優勝に導いたのですが、アメリカ球界の GM の存在、チカラと言ったらものすごい権力を授けられているのです。中日の球団社長や、新聞の社長たちがその機能をどれだけ理解しているかは、実は疑問です。GM はーオーナーには頭が上がりませんが、(大リーグでは個人オーナーという場合が多いので日本の新聞社のような会社ではないでしょう)監督よりも権限を持ち選手を自由にトレードできるのです。

ビリー ジーンは予算が少ないアスレチックスの台所事情に苦しみ、かつ監督や、コーチ、スカウトとは意見が違っていて、アスレチックスはなかなか経営が、ひいては勝率が上がらないどうしようもないチームでしたが GM を引き受けました。彼のところに若い大卒の新人が入ってきました。この男は理科系で大学では数学を専攻していました。彼はビリーに勧めた画期的なアイデアは「打率を見て選手をスカウトしない。選手は出塁率で評価してください」ということです。すべてのスカウトや監督は、ホームランとか、防御率、守備とか、盗塁とかで選手を評価しますが、この男は、出塁率だ、と言い張るのです。つまりフォアボールが多くて出塁しても(選球眼)、ヒットで出塁しても(打力)価値は同じというわけです。

ビリーは考えに考えた挙句、球団の選手採用方針を変えました。ということは安いお金でそれなりの出塁率を示している無名選手を採用できるというわけです。球団の台所事情からして、やむを得ない方策だったと思われます。

落合GMは当然そのあたりは理解して、自分がその役をやりたいと思ったらしいのです。
私が危惧するのは(1)落合は優秀な監督でしたが、GMなんて泥まみれの仕事ができるのか、(2)中日の関係者が強権を持つGMを理解できるのか、というあたりですが、中日を何回も優勝に導いた落合はまあ、言ってみれば、神様みたいな存在ですから、思うとおりにGMの仕事をやり遂げるかもしれません。落合は「私が引き受ける以上は優勝を狙うのはあたりまえ」と言いました。そうでしょう! 来年のペナントレースは面白くなります。中日球団には注目します。中日が優勝できるかというよりも、それは日本の球団がGMを(今までGM制度を導入したいくつか例がありますが)使いこなせるかというところに注目するわけです。