時代が変わったのはいつものように、世界が何かの事件で震撼したからか。コロナによるパンデミックがきっかけか、それともロシアのウクライナ侵攻のせいか。いつの間にか、私の目から見れば日本は成長が止まって、世界から大きく取り残されているように見える。最近の新聞によるセミナーキャンペーンを拾いだすと、いくつかのテーマが浮き彫りにされて、問題点がはっきりしてくる。

人気があるというか、ニーズがある新聞社主催のセミナーは、「DX、ジェンダー、ESG、SDGs、人材育成」などであろう。さすがはマスコミである、今の日本が直面している問題点についてよくわかっていて、セミナー需要があると踏んだわけだ。外国の会社に勤めて20年、私がどうしようもなく悲しくなるのが、DX関係である。私自身が日本人で、かつアナログ人間なので、この辺の事情はよく分かる。私の結論は「DXは個人や、組織の問題ではなく、まさに日本人そのものの問題だと思っている」ゆえに、DX時代に合わせて、日本を合理化できるように進歩させて、先進列国と肩を並べるように向上させる試みは失敗におわるだろうと思う。その大事さゆえに、いわゆる「半導体が産業のコメ」と言われたように、DXは「成長の神経系統」ではなかろうか。

日本人は他国と比べて、情緒的でかつ感情的でもある。古来の文化は立派な歴史を持ち、国語とか、詩歌とか、歌舞伎とか、神社、絵画とかに文化の個性、強さ、など如実に表れてる。しかし、近代文明の発展を考えると、日本人の体質と、鎖国という頑なに外国を拒絶した排他性のとがめは大きい。最近のいくつかの例は「コロナの治療体制が不出来で、予想以上の死者を出した」「市役所のマイナンバー制度が定着せず、いつまでもハンコなどに頼っている」「パスワード、パスコードに鈍感で、カード犯罪の温床になっている」古い制度を温存して新しい制度を採用しない国民性は特筆ものだろう。特に欠けているのは、DXを他人事ととらえ、政治、企業などでは、トップに立つ人たちが非理系ゆえロジックの必要性がわからないので、担当者を指名して、「君の任せる」などとして問題を棚上げにしている現状ではなかろうか。DX問題に直面して、国民の悲鳴が聞こえる昨今である。