初めて聞いた名前です。孫が足をねん挫したというので、世話をしに行ってきました。いつもの通り、本を読んでくれと言うリクエストがあったので、そのあたりに積み重ねている児童用の本を一冊抜き出して読み始めました。タイトルは「このあと どうしちゃおう」と言うもので、なんか変だ!
読み進めると、すでにひらがな、カタカナが読める奏一郎は、横から覗きこみながら、小さな声で僕の声をなぞらえてるのです。なんだ、読めるじゃないか、ならおじいちゃんがよまなくてもいいんだねー。と言いそうになったが、待てよ、この子は傷を負っている、甘えたいのだろうな、と気を取り直しました。
この本の趣旨は、―おじいちゃんが死んだあと、孫が一冊のノートを見つけて、そのノートを読みはじめる、というものなんです。こういうのを、エンデイングノートとでもいうのかな。素記述や、漫画がおかしい。相当に笑のセンスがいい。たとえば、天国に着てゆくための服装とか。天国にはいろいろな工夫がしてあって、たとえば生まれ変わりになれる機械がある。猫になって孫のそばにいくとか。現世に何か残った人たちをケアするツール、この場合「おでき」が秀逸ですが、を残してくるとか、いっぽう、地獄にはこのようなつらいことが待ち構えている、たとえば地獄のトイレは数が少なくてまたされるとか、地獄の制服はちょっと濡れていて、冷たいとか。
読み進んでいくうちに気づいたのですが、4歳の孫には何がユーモアだかさっぱりわからないだろうということ、ではお嫁さんがどうして買ってきたのだろうか。それは作家が今や大人気で、見過ごすわけにはいかなかったからでしょうね。作家は筑波大学の大学院造形科を出て、漫画や絵本の作家になっていて、人気上昇中らしいです。まじめな童話絵本もあります。けれど、私にとってはこの表題の本が一番で、これから見舞いなどに行くたびに、大声で孫に読んであげながら、一人でゲラゲラ笑うことになりそうです。傑作です!!