アラン チューリング が主人公の名前です。 映画は2014年に大ヒットしました The Imitation Game というタイトルで、製作費の10倍の興行収入を上げたのです。この映画の中身は第二次世界大戦で、ドイツに完敗だった戦争前期のドイツの攻撃に耐えて、イギリスで天才的な数学者が数人の仲間とともに、何年も秘密裡にエニグマ(ドイツの暗号の呼び名)としてドイツを有利に導いていた、情報をついに解読して、連合軍に勝利をもたらした一部始終の真実の物語であります。

連合国側はドイツのエニグマのために連戦連敗、もはやイギリス本国での空襲にもさらされるようになった窮状をいかにして抜け出すかと言う物語でもありますが、エニグマ解読の性格上、解読は秘密裡に進めなければならないし、さらに、解読に成功しても、ドイツ軍に悟られてはすべて水の泡と言う難しい問題を乗り越えなければならないという、実につらい国家的なテーマに直面したのです。

ドイツの潜水艦が予定通り連合軍の後方支援の戦艦を攻撃撃沈しているとき、突然その予定が狂ったとします。つまりそれは「エニグマを連合軍に読まれた」と言う証拠になります。そうすると、ドイツ軍は直ちに暗号を変えてしまうでしょう。ですからドイツ軍に知られずに、ドイツの攻撃を避けて戦局を目立たないようにじっくり好転させる。そこがイギリス軍の頭の使いどころだったのです。

この仕事は国家の秘密ですから、決して日の目を見ることはありません。むしろ解読という成功を永久の秘密にしておかなければならないのです。戦後でも、次の戦争のためにイギリスにそのような優れた解析力があることは、世間に知られてはなりません。担当のチューリングの苦労は並大抵ではないのです。しかし、解析に成功して、敵の攻撃をかわしながら、連合軍側は終戦を2年早め、命を失わなくて済んだ兵士は1400万に及んだと言われています。第二次世界大戦が終わって70年、やっと日の目を見た連合軍の秘密、輝かしき栄光の物語でした。