今年70歳になるトランペッター日野皓正は元気いっぱいに、全身でトランペットを吹いています。4台のエレキギターとピアノそしてベースが加わり、ゲストとしてDJ Honda がNYから駆けつけてきた上、大柄な女性サックス奏者矢野沙織も合体して熱演を繰り広げたのは、10月8&9、於:ブルーノートでした。

一度テレビで見ていたDJホンダのパフォ-マンスと日野のコラボにはびっくりしました。テルマサにかかると何でもござれなんだなと思うのです。ジャズで大をなしたアーチストはどんどん変化してアフリカなど異色のリズムや音色を取り入れるんですね。ただし今回の演目は don’t forget 3.11 などのオリジナルだと思います。 4つのエレキ、ピアノに、ベースに、DJのリズム、会場はキーキー、ジージー、ヒューヒュー、ガーガーという音で満杯、そこに時々テルマサの、これまた得意のキューキューというペットの響き。スタンダードナメロデイーになれた私たちオールデイファンには100%異質な音楽です。こういうセッションを化学反応と呼ぶのだそうです。

しかし、これがいやみがない。聞けるのです。決して「ウルサイ、いやだ、もう帰ろう」とはならない。現代ジャズとでも呼べばいいのか、ここまでジャズは来ているのだなーと感心するのです。マイルス デイビス、デューク エリントン など聞いていた私の年代でも不思議にテルマサの音は受け入れられます。

矢野沙織は良く知りませんがすでにアメリカではショウやレコードで有名らしいです。背が高く、かつグラマーでものすごい存在感があります。アルトサックスを弾きこなすだけの体力があるのでしょう。時々飛び上がって大きな胸をぶるんと振るわせるパフォーマンスも計算のなかでしょうか。みな一様に「ブルーノートに出演できて嬉しい」とか「日野テルマサと競演できて幸せだ」と言っていました。それほど、70歳を迎えたテルマサは偉大なのでしょうね。