今年初めての飯盛山へハイキングにでかけました。初夏のさわやかな風をほほに受けて、鶯やカッコウの鳴き声を耳に汗を流しました。この山は八ヶ岳の東側に小高く見える、いわば展望の山(1643米)です。山頂からはほぼ360度の展望に恵まれていて、その魅力は多くのハイキングファンの知るところです。小海線野辺山駅から歩く辛抱強い人もいますが、私はむろん平沢峠(1375米)に車を停めて、そこからやおら歩き始めるわけです。平沢峠は、日本海と太平洋の分水嶺で北側は千曲川>信濃川、南側は釜無川>富士川に、いわば泣き別れするところです。
この峠も自慢の展望で、目の前に八ヶ岳の鋭鋒が広がっています。あるきはじめると、すぐにセミの合唱が私を包みます。登山道沿いのレンゲツツジが美しい。時々身近でウグイスの鳴き声が聞こえます。遠くの樹のてっぺんではカッコウが鳴いています。「また夏が来るな~」と季節の移り変わりを鳥から教えてもらいます。だんだん体力と筋力が衰えてきたわたしは、毎年この山に登りながら「ここを登れなくなったらオワリだな」と思うのです。とても登りやすく、歩きやすい大衆的な山です。この日も中学生、小学生がバスを連ねてやってきました。最初はのぼりですが30-40分ほどで、林の中のゆるい平坦な道に変わります。程よく歩くと稜線にでます。その先はさえぎるものもない飯盛山へ続く道。頂上には南牧村の碑が立っています。
たぶん長野県、山梨県の小中学生の体育のカリキュラムに盛り込まれているのでしょう。彼らから元気のいい挨拶を交わしてもらいながら、私はテレビなどで見ている非行少年たちも本当は極わずかで、やはり健康な子供たちがわが日本にはたくさんいるんだなと納得するのであります。この山のすごいところは、標高は低いものの緯度のせいか、高山植物に恵まれていることです。マツムシソウ、キスゲ、アサマフウロ、シモツケソウ、ウツボグサ、クルマユリ、ハクサンフウロ、、、もうきりがないのです。
老人夫婦が両手に杖というか、スキーストックみたいなものを突きながらのぼってきました。そうか、その手もあるなと、企画後に車庫のなかを探してみようかなと思うのであります。くだりはのぼりよりも危ない。前につんのめって転ぶことがありそうです。今回も2,3度小石につまずきました。怪我ってこういうときにするのだなと、かつて、友達が石につまずいて頭から草むらにダイブしたことなど、今では懐かしい青春時代の山歩きです。
帰途JR最高地点の野辺山踏切の売店でソフトクリームの看板を目の片隅に捕らえ、思わず車のブレーキをかけた自分でした。