これは感想文です。なんの手助けになるかわかりませんが、私の40年の経験を語ります。
今度の暴落は2008年のリーマンショック以来の暴落です。それ以降に株式投資を始めた人たちはびっくりしたことでしょう。たとえば、NISA制度ができて初めて株式投資をしたひとなどですが。
10年に一度程度の間隔で、暴落は来るべくしてきています。なぜか、それはエネルギーがどんどん集中して、もう上がらない限界にきているからです。値下がりが続いてもう下がらないところからの上昇とは性格は違いますが。日本株式市場を例にとれば、大多数の人たちがアベノミクス導入以来、投資で成功して、さらに資金をつぎ込んできました。しかし、買いのエネルギーが尽きれば、それは即、売りのエネルギーに変わります。天地の逆転ですね。つまり株式市場はそうやって、行き過ぎを修正しながら再生してきました。上がるためには下がらなければならない宿命にあるのです。
そして下げは早く、上げはゆっくりなのです。下げの理由はいくらでもあります。いわく、アメリカの金利が上がる、中国の不景気は予想以上、原油をはじめ資源の供給過剰、とりあえず一段落、他人よりも早く現金をを手に入れたい、などいま暴落の説明におおくの人たちが躍起となっています。そして、説明しつくしたら下げ相場は終わるでしょう。ただただ、いつものことですが、異常なきっかけがありました。それは中国が、為替レートを自国の貿易に有利に下げたことです。株式市場はその無理を咎めたと言っていいでしょう。「中国は予想以上に景気が悪い」とうわさが噂を呼んでいます。
中国依存の世界経済はデフレに突入するのでしょうか。日本の中国貿易の対GDP依存はわずかの2.17%です。私は、冷静さを失った日本の株式市場には失望しました。又、急落のため、リスクを減らそうと、懸命にリスクキャピタルである株式を売ってバランスを取り戻そうとした組織には同情を覚えます。「世界同時暴落」と騒ぎ立てるマスコミには苦笑を禁じえません。又ことさらに年金基金が買い支えに入ったなどと言い募る株式関係者を恥ずかしく思います。
日本株の投資価値はどこにありや。それはPER13という数字がものがたるとように、数字そのものの中に投資価値があります。無論、そういう類の合理性を持った裏づけは、需給の悪さに翻弄されてしまいます。アメリカのブラックマンデイで底を拾ったのは個人投資家でした。機関投資家はポートフォリオのインシュランスランス(保険、つなぎ)を調整するのに目先を必死で売ったわけです。日本もポートフォリオバランスなど気にしない自由な発想のできる個人投資家が、この下げでたくさんの株式を買ってくれば、私は嬉しいです。個人が莫大な資金を生かせる時代が、この暴落をきっかけに来たとしたら、ブラックマンデイの再来ということで、私は大いに評価するのですが。