去る5月の子供の日にワンダーアキュートは船橋競馬場で一番人気となって、「かしわ記念」に臨みました。ファンも騎手の武豊も優勝を待ち構えていました。しかし、いざふたを開けてみると、2月に最低人気でフェブラリーステークスを逃げ切ったコパノリッキーが強烈で、他馬を寄せ付けずに堂々と逃げ切ってしまいました。この2頭は「老雄の8歳のワンダー対若い4歳のコパノの対戦」だったので、やはり実績のあるワンダーに人気が集まりました。確かにワンダーは11勝もしているベテランで、コパノはそのとき5勝です。

しかし、競馬の内容はコパノが断然強くて、レースの途中からトップに飛び出して、ぐんぐん差をつけて、気持ちよく3馬身もの差をつけてゴールしました。2着にはセイクリムズンが予定通りと言いますか、入っています。6月26日の恒例の「帝王賞」は大井競馬場で行われ、この両馬は今年3度目の対戦ですが、今回は無論コパノが一番人気です。

競馬の人気というのは、前回勝つと今回人気になります。つまり人気が実績を追いかける形になるわけです。帝王賞はまた重馬場ですが、距離が400米伸びて、2000米です。コパノに不安があるとすれば距離でしょうか。

レースはニホンピロアワーズが逃げを打って、コパノが続きました。ところが3番手に控えていたワンダーが向こう正面あたりで、するすると2番手に上がり、直線に入るとムチが入ってトップに躍り出ました。武の采配が生きたということで、ワンダーは気持ちよく(そのように見えただけですが)ゴールに飛び込み、コパノはようやく粘って2着に入りました。

ワンダーのリベンジが成ったのです。

武は重賞101勝という記録を打ち立て、帝王賞だけで4勝を挙げたのです。人馬ともにご立派な成績を残しました。ワンダーという馬は強いとか、早いというよりも頑張り屋さんという印象が私はあります。何しろ30レースに出ていて、いまだ引退もなく現役で走っているのですから。きっと武の競馬人生でも記憶に残る名馬の仲間に加わるに違いありませんね。