ヒラリークリントンが国務長官を退任しました。彼女の引退スピーチは簡にして明、雑多な民族の集合であるアメリカ人はもとより、わたしにさえもその内容が伝わりました。ヒラリーは私が尊敬する数少ない政治家の一人です。彼女はよく働きました。そして最後に日本人に残した言葉は、「日米安保条約には尖閣列島が日本の領土であることを認識している」という趣旨を発言したことです。その発言もあって中国の新しい政権は、影響を受けたと私的には理解しました。

クリントン大統領の最強のファーストレデイでレビューしたヒラリーは、オバマ大統領のもとで立派に、やはり最強の国務長官として責任を果たしました。31年もの間政治家として働いたあとで、これから次の大統領選挙に備えて準備に入る、といううわさは信じられます。彼女の任期中には健康保険制度、そしてテロとの戦いに終始せざるを得なかったうえ、血液の病とも戦っていました。しかし、彼女は外交官としても偉大、125か国と交渉をもったのです。

クリントン大統領が女性問題で大騒ぎになっていた時、横に控えたファーストレデイの態度は妙にしっかりしていて、怖そうに見えました。なるほどそうか、大統領がほかの女性に関心を持ったのはわかるな、なんて失礼なことを考えた私です。しかし、今となって思い出せるのは、ヒラリーは大統領予備選に出馬してから、また国務長官に任命されて、いくつかの失言でその地位を危うくしながら、アメリカの危機を助けてきたのですね。そして今や大きく育って世界のアイドル(笑)になりました。笑顔が美しい、確信ある言葉、ときには優しい、慈しみに満ちた表情、こういうタイプのリ-ダーが日本にもほしいと思いました。しかし、現役の女性政治家からはなかなかイメージが重なる人が見つからない。

いま世界はメルケル首相、パク大統領、ルセフ大統領など女性の国家代表はいくらでも輩出しています。私は女性らしさなどと言う表現を使いません。ただただ、つよいリーダーたる人材がいるのかどうか、女性であってもおかしくないと思うのです。いまだ日本では、政治において女性の登用を特別なイベントとしか考えていませんが、性別をことさら重視した理由づけなど古臭いと思ませんか。2016年、ヒラリーが大統領選を勝って就任したら、今度は日本人は自分たちをどう振り返るのでしょうか。

ついでに、英語の発音について、英語を学ぶ日本人にとって一般には女性の方がわかりやすいと言われています。ヒラリーはそういう意味でも私はプロクシーだと思います。楽天もユニクロも、社員全員の英語の上達を目標にしていますが、私はヒラリーのスピーチやコミュニケイションを大いに活用したらどうかと思うのです。