7月までの4ヶ月間毎月3回、私は早稲田大の「MBAエセンシャル2014」という講義を受けていました。なんとなく気まぐれで、一体日本の大学のMBAの授業というのはどんなものだろうか、と好奇心があって、かつ時間があったので、参加してみたのです。週に一回、ないしは隔週で、キャンパスの8号館の階段教室に19時に集合します。受付で、カードを提出して、簡単な資料をもらいます。

このコースに参加した社会人は約400名でした。年齢別では30代と40台が80%ほどを占めて中心的存在、20台が10%ほどで、統計上私の属する60歳以上には9名だったか、いずれにしてもほんのちょっとの人数でしたが、教授はその年齢構成には興味があるらしく、40歳以下の社会人生徒は「将来の早稲田大学におけるMBA取得の潜在的な候補生と見ていたようです。これも商売ですから、多くの生徒獲得するのが大学としてのテーマになっているのは必定。

ある教授は、60歳以上の参加聴講生に対しては「どうして来たのでしょうか」などと言って不思議に思ったようです。私自身は単に好奇心があったので、これからMBAの取得を狙っているわけではないのです。つまり、いまどきの大学では経済とか景気についてどのような講義をしているのか、知りたかったわけです。その答えは「失望」です。たとえばマーケッテイングの時間ではモデルがジャパネット高田でした。うーん、ちと古いんじゃないの?そしてヘッドアップのスクリーンに出てくるデータは2008年のもの。古くて何の参考にもならないのではないでしょうか。理論を、原則を説くのは大学の授業として重要な原則ですが、アウト オブ タイムのようですと、説得力がないのではないかなと思いました。

それでも30%くらいは女性で構成された聴講生は熱心に議論したり、意見を開陳したりしていました。各教授は席に近い生徒を3-4人グループにまくくって、意見をまとめて、指名があったらその中の一人が意見を表明する、などの積極的な参加行為を求めていましたが、これは成功したといっていいです。知らない人と突然グループになってテーマについて議論して結論を10分くらいで出すというような訓練は私の時代にはしてこなかったのですから。当然ながら階段教室の中央に近い場所に席を取った人は積極的に発言していました。皆さんが会社の帰路に立ち寄るのですから、残業をしてきた生徒は必然的に後方の席に座って、発言の機会は少なくなってしまうものです。

私は個人の費用で参加しましたが、たまたま隣り合わせたポーラオルビスの女性社員の場合は、どうやら会社がスポンサーになっていたようです。

つまり、会社の研修にこの授業を取り入れたみたいな感じでした。私はカリキュラムの内容には不満足でしたが、30代40台の現役の働き盛りの会社員と同席して、議論したり、意見を交換したり出来たことで、少しでも今の時代の空気を感じたのは確かで、決して無駄ではなかったと思いました。

いえ、やせがまんではありません。しかし、もう一度受けるか、と聞かれたら、ほかの大学を探します、と応えるでしょう。