一人の人間があらゆるジャンルにわたって趣味を持つなんてできないのです。演劇は私は生涯アンタッチャブルの分野に違いないと決めつけていました。始まりは山岡君です。若き精鋭の山岡君はまさに働き盛りであり、また伸び盛りでもあります。多趣味で驚くほどのサイドビジネスをもっています。縁あって山岡君とひと仕事した後、彼は私を演劇に誘ってくれました。まさか、わたしが?と自問した私でしたが、むくむく頭を持ち上げてくる好奇心抑えることができなかった私は、思わず切符を申し込んでいました。2014年の冬のことです。

アングラとは言わないまでも、演劇の舞台風でビルの地下の小さなスペースに誘われて、わたしは2時間の間、4つのオムニバスのお芝居に見惚れていました。こういうものか芝居というのは、私は初体験に違和感を覚えるどころか内心、イイナーと憧れみたいな気持ちを持っていました。山岡君はある劇団に身を寄せて趣味の演劇に熱中しています。私はその成果を小さな小屋(とはいえビルの中ですが)で練習の成果を鑑賞するのです。前回から半年たって待ちに待った今回はまるっきりの喜劇の公演でした。

原作は外国生まれ、演出は日本人そして山岡君はホテルの支配人の役、いち幕物で、出演者は出ずっぱり、またしゃべりっぱなしの90分。ホテルに秘書を連れこんだ議員が部下の男性の秘書や、この秘書のお母さんの面倒を見る介護士の女性、議員の浮気相手の女性の夫、探偵の死体(実は気を失っただけ)ホテルの支配人、ボーイ、などと絡んで、浮気を見つからないようにごまかす。いやというほど笑わせる。喜劇とは、、、こういうものなのだ。多分 宮本亜門とか ツカコウヘイなどもこうやって観客を笑わせているのだろうな。