オリンピックを前にして、何気なく夜中の映画をTVで見ていたら。「チャイニーズ ゴースト ストーリー」という幽霊ものをやっていました。まあ、こういう映画は古今東西つまらないもので、最後まで鑑賞する気もなかったのでしたが、結局最後まで見てしまいました。

同じお化けでも、わが国ではほとんど、裏切られたり、騙されたり、この世に恨みを残して死んだ人間を言う。「ウラメシヤ」と化けて出てくるいわれは大方そんなところだろう。今まで中国の歴史ものにうんざりしていたわたくしは、またあのつまらない宮廷の跡目の争い、着飾った皇帝妃の権力の争いごと、竹林の上の空中をぐるぐる回りながら、戦うおかしな武術、何だろうなと終わるまえに切ってしまう心つもりで見ていた。

ところがこのゴーストは近代的仕立てで、ヒロインは美人である。むろん足も付いている。つまり一年前に悪者によって殺されて、幽霊になって生の人間の姿になって、しかも生きている若者を好きになる話。言ってみればヒロインは幽霊版”百恵ちゃん“と言えるくらいかわいいのだ。ジョイ ウオン?、多分国家のアイドルなんだろう。撮影は中国映画(一般に退屈そのもの)ではギリギリの露出で、キスシーンや、抱擁シーンは当たり前のようだ。あれだけ保守的だった演出も少しは現代風なのだ。

映画の演出でさえ、中国が資本主義国の模倣を嫌った映画文化が最近、若干の譲歩したのかなと見える。それよりもあれ以上性の表現を開放すると、共産党は、映画の演出の西欧国家の模倣となれば、国家中国の対立する民主主義によって侵略され中国の伝統的保守主義が崩壊すると恐れているのかもしれない。HKの民主主義化もあるし、歴史からはそう学んでいるわたしたちではある。