わたしの引っ越してきた大型老人ホームには、図書室、プール、談話室、レストラン、売店、診察室などいくつかの施設がありますが、中でも人気があるのはマージャン室です。マージャン卓は五つあったのが、最近増やして6卓になりました。常時麻雀を楽しむ方々はのべ100人はいるようです。中でもご婦人の数は多くて、数えたことはありませんが、ほぼ70%は女性のようです。

何故ご婦人が多いのか、第一にこの施設には独身の、かつ妙齢の婦人が多いということです。次にマージャンはやったことがないがご主人が生前にいつもマージャンをやっていて、いつかは自分もやってみたいと思っていた方々が多いです。私は、昔マージャンをやっていて(特に点数が数えられるので)これら初心者にマージャンを教える役割を担っています。初心者にマージャンを教えたことがない私は、思わぬ苦労をさせられています。その中には面白、おかしい風情も多く見られます。

まずご挨拶が必要です。顔も知らない名前も知らない施設の同居人がマージャン卓を囲みます。ご挨拶から始まって、サイコロを振って東西南北の席決めをします。どこに座っていいのかわからないで、うろうろします。次に親を決めます。配パイで親が14枚、子が13枚のパイを取りますが、ぴったり数がそろわずに、12枚だったり、14枚だったりしてまごつきます。

いよいよ開始ですが、パイを取っては捨て取っては捨てのリズムが取れません。持ってきたパイをにらんでじーっと考え込む方たち。「イーハン縛り」がなかなか理解できないで、役なしで上がってしまう方たち。ポン、チイ、ロンの区別がつかずに、思わず、ポンなのにロンなどとくちばしる方。ともかくゼロからのスタートは大変です。

それでも和気藹々にマージャン卓を囲んで、初心者も上級者に交じって、教えてもらいながら、生まれて初めてのマージャンを楽しんでしますが、一度麻雀を始めると、面白くてなかなか抜けられないようです。20人くらいの少人数のグループができて、それぞれにグループのニックネームで卓の予約を取っていますが、グループごとに若干ルールがちがっているのが面白いです。Aというグループに属する人がBの人とマージャン卓を囲むときは、スタートする前に、ルールの打ち合わせをするのがしきたりのようで、いわゆるローカル ル-ルの確認作業をするわけです。初心者はいわゆる役満を知らないのですが、いつの間にか大三元を上がっていて、周りが大騒ぎしているのに本人はぽかんとしたまま、などよく見られる風景ですが、私はそういう時は携帯電話で記念の写真を撮っておくように勧めます。後々、楽しい思い出になります。みんながマージャンはボケ防止に効くと言っていますが、わたしにはそうは思えませんが、みなさんはどう思いますか?