私は特に五木寛之のファンというわけではないが、最近まあ、同世代のなじみで新刊本を2冊読んだ。なぜ新刊本かというと、とにかく随筆なので読みやすい。ストーリーもないので登場人物の名前や肩書を覚える必要がない。それに、私の目が悪くなったので、読書に疲れたら、いつでもページを閉じて寝てしまってもよい、など簡単なのだ。先週本屋で入手した随筆のタイトルは「マサカの時代」というもので、ちょうど私は前日の日曜日にG-1 レースの「ヴィクトリアマイル」という競馬で、失敗したばかりなので、こころにこのタイトルがズシンと来たというわけだ。

競馬の世界も、この本がいみじくも指摘したように「期待した強い馬が敗けて」マサカの馬が勝ったりするのだ。特に今年は昨年とはちがって私の予想は外れっぱなし。マサカマサカの毎週なのだ。そうかといって、まったくでたらめに優勝馬を予想していたのではなく、私の狙った「ミスパンテール」は見事に5着にはいっているのだ。ただ、ファンとしては、「競馬はできれば1着を予想して」馬券を当てたいのだ。複勝馬券とかワイド馬券とか、1着に来なくても当る馬券はある。しかし、G-1レースで、最初からあきらめて2,3着にはいる馬を予想しようとする逃げの姿勢には自分で我慢できない。

その前の週では、NHKマイルというG-1レースであったが、本命のタワーオブロンドンという有力馬がナンバーワンの騎手ルメールで負けてしまった。私は優勝したケイアイノーテックという馬は2着候補として買っていた。タワーと2着に入ったギベオンがあまりに強く思ったので、この2頭からケイアイに流していたので、馬券は裏目で2着―1着とはいったのだ。裏目を押さえていないという技術的な問題はあったが、完敗である。そして、その前の週、4月29日にはあの有名な天皇賞である。私は5着に入ったチェスナットコートという若い馬を買っていて、やはり優勝したレインボーラインは2着に抑えて、頭には押さえていなかった。

そうです。一言で言えば、ヘタクソ馬券、馬券戦術のまずさ、だれのせいでもないのですが、一着に投票した馬に思い入れが強すぎて、馬券にならなかったということだろうか。私の気持ちには五木寛之のマサカという忠告がよぎったのは言うまでもない。

「マサカの時代」の帯には:

――あらゆる予測は外れる
――世の中も、人生も、」「ありえない」への心構え

とある。