“ピルグリム” というエンタメ小説が大人気という。ドラゴンタトウーのつぎはこれだ、とかジャッカルの日 以来最高のデビュー作、ダン ブラウンのベストセラーに匹敵、など期待が大きい。ピルグリムとはCIAやFBI のさらに上位に位置する諜報員のトップの呼び名のこと。1万5千人もいるスパイや、敵地侵入を技とする諜報員の中の指導的な位置にいるのです。

文庫本3冊の長編で、特に①が素晴らしい。さらに読み進めていくと②と③はやや冗長というか、格闘とか拷問とかの部分で細かい描写が多くなって、読むことが少々つらくなるのです。いずれ映画になる可能性はあります。もう一つ、この小説の面白さは、テロのネタが珍しいのです。ばらしてしまうのは避けますが、細菌戦争に近いですね。そして、敵対するのがイスラムのテロリストとアメリカの秘密諜報員ですから、現代の戦争の縮図でしょうか。作家のテリーヘイズは先見の明があったというべきでしょうね。

現代の宗教戦争も昔のそれも本質は変わらないのです。ただ現代の方が貧富の差がますます激しくなって。国家単位で取り残されてゆく民族が増えて、宗教の名のもとに、繁栄している民族を襲うのですね。昔から、ひと殺しを正当化する神々が沢山いるらしいのですが、神のご都合主義には人類も参ります。