印象派の時代に印象派の絵画を売買していたと言われる、ギュスターブ カイユボットの作品と収蔵品の展覧会がブリジストン美術館で開催中です。私などは、名もないと思われるカイユボットをブログに取り上げるようなことになるとは、想定もしませんでした。しかし、どうもこの人は見逃せないぞと展覧会を見てから考えました。カイユボットは19世紀の終わりごろ印象派の絵画を取引していた美術商人として有力な人でした。しかし、ブリジストン美術館は彼の画家としての才能を評価して、彼の100点ばかりの絵画を展覧したのです。

まあ、言ってみれば、野村監督のようにプレイイング マネジャーということでしょうか。シニア入場料の1300円を払って絵画を見て回りました。しかし、印象派のルノワールとかマネのような親しみはなく、また技術的に特に評価されるわけでもないとは思いましたが、ちょっと気になるところがありました。たとえばパリ市内の「ヨーロッパ橋」という絵では手前の犬(名前はベルジュール)から橋の向こう側にある建物まで、縦長に描いてあって、まるで28ミリのレンズを使って写真を撮ったような構図になっているのです。

ほかにもそういう視点で絵を見ていると、50-60ミリのレンズ角度でほかの画家のように普通に描いている人物画、そして望遠レンズを使ったような人物のアップ。遠近感が強調されていて興味深かったのです。中には同じベルジュールという犬が主役の「カルーゼル広場」は霧のロンドンを思わせるモノトーンの絵画でとても印象的です。ほかの美術館では今ターナーもやっていますが、私は見慣れているターナーよりもカイユポットの方が新鮮ではないかと思って京橋に来てみました、正解でした。カメラを趣味とするアマチュア写真家にはおすすめです。

もう一つの写真展は国立近代美術館ではジョセフ クーデルカというモノトーンの写真を撮っていたチェコの写真家の展覧会です。かつての戦争、ジプシー、文明の崩壊、、、暗い画面でリアリズムをテーマとしていましたので、外国人の見学者が比較的多く、時代の悲劇を訴えるような写真には強い衝撃を受けました。各国で高い評価を受けているようですが、今の平和ボケのような日本でどのくらい受けるでしょうか。見ものではあります。