「WTI」 というニューヨークの原油先物市場が注目を集めて、世界中が一喜一憂しています。つまり原油価格(WTI)が今下げに下げて10年、いや20年来の安値にまで落ちてきました。無論常識では完全な原油掘削コスト割れになっています。多分、シェールオイル(新しい石油源)のコストも低いとは言いながら30ドル近辺ですし、またオイルの方は同コストは推定5ドルくらいですから、これもコスト割れです。

こういう時期は普通なら、原油の生産は中止するか(業界では、ふたを閉めるといいます)、産油国が打合せして、各国が歩調をあわせ減産して、価格の下げを食い止めるのですが、今回は協調姿勢が無くて、減産の合意には達していません。イスラムISの攻勢を弱めるとか、シェールオイルを掘らせないようにするとかの思惑が働いているのでしょう。つまり、産油国はまるでバカの一つ覚えのように、軒並みドンドン原油を生産して、原油価格の値下がりとともに減ってくる国家予算を立て直そうと躍起になっています。

産油国のメンツもあり、また力関係もあって、かつてほどには仲が良くないのです。この値下がり(100ドル以上から28ドルまでの値下がり)によってすでに産油国から消費国への富の移転は7000億ドルに達しています。つまりロシア、サウジ、イラン、アルジェリア、などの産油国はトータルで7000億ドルの富を減らしているのです。一方消費国の日本、ドイツなどは潤っています。

今になってみれば、原油の値下がりは誰が得をしたか、また損をしたかのカードゲームのような損得の問題ではなく、適正価格を模索しないと大変なことになる(デフレとか、恐慌とか)と心配しなければならない時期に来ています。では、生産国も消費国も満足できる適正価格とは?多分55-60ドルあたりだと思いますが、その水準に戻る手だてとかきっかけがつかめません。

これからはWTIの原油価格は28ドルから20ドルあたりで底を打って反発するとの観測もありますが、昨日プーチンは増産を世界に発表したようです。今や、なりふり構わず国家収入を確保するため、めくらめっぽう走り出しています。今回は不思議なことに誰もイニシアテイブを取って減産の合意をまとめません。ということで、どこまで売られるかわかりませんが、価格がゼロになるはずはないので、そろそろ転換するに違いないと思います。

私はWTIのETF(上場投信)が日本に上場されているので、12月11日からポツンポツンと買い始めました。つまり実験なのです。1月19日にはニュヨークのWTI 市場は28.42ドルを付けました。東京のETFは1885円です。