そのまま直訳したら、たぶんですが、堕落天使ということになりましょうか。投資の世界では、株式の栄枯盛衰についての呼びかたです。つまり、「むかし優良株、いま普通株」といったような、でなければ「かつての値嵩株、いまや低位株」ともいえるでしょう。もう少しわかりやすく「かつての人気株、いまの不人気な普通株」というような意味合いです。毎日、毎週そして毎月と株式市場を追いかけて、眺めていますと、フォールン エンジェルがどんどん、雨後のタケノコのように発生してきます。

フォールン エンジェルの中には、二度と立ち上がれない株もあれば、再び人気を取り戻す株もあります。むろん、いったん人気がはげればもう時代にとり残されて、再び脚光を浴びることもない銘柄の方が多いような気がしますが。パナソニックはどうでしょうか。2006年の高値2870円から下げてきて、一時5分の一になりました。当時の人気から見て、フォールン エンジェルと言っていいでしょう。任天堂もやはり高値から見れば株価はいまやその6分の一です。株価が下がってしまったのはなぜ? 市場全体の動きとは別として、その企業の独特の優位性が構造変化によってすっかり無くなってきたということです。一言で行ってしまえば、パナソニックはテレビで韓国勢にまけ、また、任天堂はゲーム機器とソフトがスマホのコンテンツにやられたということでしょうか。

スマホと言えば、小型カメラ(デジタルとか、ミラーレスなど)の市場をすっかり奪っています。そういう意味ではキャノン、ニコンも構造変化に押されていますし、またキャノンの株価も2006年の高値9020円から下げに下げて、現在の3000円にとどまっています。言い方を変えましょう。上記の銘柄は成長株から優良資産株(?)に性格が変わってきたと言うことでしょう。利回りも高いし投資価値がないわけではありません。むしろ利回りで買える銘柄がフォールン エンジェルの宿命だろうかと思います。10年後、20年後にはユニクロさえ、GAPのように利回り株に変わるかもしれません。

しかし、中には暴落の後、よみがえる昔の人気株という銘柄もあります。ソニーの場合、6000円台から700円台にまで下がったにもかかわらず、企業の誇る技術は温存されていて、再び成長の足掛かりを突敗けるかという思惑が出ていて、底値から3倍に反発してきました。アメリカのファンドが7%も保有しているので、メデイアは面白がって余計
取り上げやすいのですが、ソニーの役員のファンドの提案に対する反応には興味津々です。さて、今回はもう一つのフォールン エンジェルを取り上げさせていただきます。それはまだ決定的ではないですが、(キャタピラーの赤字決算を見て、かしこい投資家はすでに気持ちの用意はしてしまっているでしょう)コマツが下方修正してきたことです。あれだけ強気を続けてきたコマツもついに資源開発の不振、中国の低迷などの影響を免れられないということでしょうか。コマツが世界で最も経営力の強い建設機械会社であることは衆目の一致するところですが、そのコマツさえ、世界の資源開発の停滞とか、経済成長鈍化には左右されるのです。さて、この場合は、14.3期の予想がはっきり出るまで見送ってみて、それから前向きに考えるということが正解かもしれないですね。コマツのリーマンショック時の安値は897円でした。