3月16日の土曜日、後田さんのセミナー「サカエ塾」に顔を出すために横浜に出かけました。渋谷で乗る東横線はみなとみらい線の終点「元町中華街」は直通ですので、楽勝です。ところが当日の渋谷はどうもおかしい。東横線の改札口がバリヤ―でブロックされていました。そこで気づきました。今日が新線開通の日だと。渋谷駅は離れたところに移転していて地下にどんどん下がっていきます。ちょうど大江戸線に乗るような深地下の駅です。少々興奮気味の駅員がプラットフォームに誘導してくれました。

フォームには急行が停車していたので、飛び乗りましたが心なしか乗客きょろきょろしているようです。何しろその電車は型式は同じでも始発が飯能でしたから、ちょっとこれでいいのかなと不安にもなりました。午後の横浜中華街駅は珍しく立て込んでいて、路線が延長されると人間はこういう風に興奮するのだなと実感しました。夕方中華街に繰り出すとこれまた人であふれています。このところ3回、縁あって中華街に来ていますが、こんなに混んでいるのは初めてです。

ふと頭をよぎったのが路線開発の経済学です。心理的には当然刺激されるので、移動したり、買い物したりすることはあると思います。さて、郊外の人が乗り換えなしに楽に中華街を訪れることができるのも効果的です。しかし、横浜の人が川越や飯能をことさらに訪れる頻度が増えるとも思えません。埼玉県と神奈川県を一気通貫するのはお見事ですが、人の移動とお金の支払いとどのような変化を見込んだのかシミュレーションが知りたいですね。

飯能の人が横浜で支出すると、その人は飯能では支出を抑えるでしょう。関東圏というくくりでは、埼玉県で消費する代わりに神奈川県で消費するだけに過ぎないということはあるでしょう。これを称して花見酒の経済と言います。しかし、飯能の人が、刺激を受けて、またいい商品に巡り合えて、横浜で支出する分を銀行から引き出したとしたら、新しい需要が創の人が引き出した預金の分だけ、国債購入をへらすので、国債の利回りは上昇することになります。つまり、政府の思惑通り好景気になれば、国債の利回りは上昇して、価格は下がるという理屈です。

これぞ、新内閣がもくろんだアベノミクスの効果ともいえるのです。それは、いいことばかりではなく、景気が回復すると国の懐具合が苦しくなるという定めで、いつかはその尻拭いを私たちがせざるを得なくなるのも確かです。