懐古趣味と言えばそれまでで、最近は 施設内の映画上映室(20人くらいの規模)を利用して懐古趣味にふけっています。とはいっても最近の「嵐が丘」上映前は、近作の「ボヘミアン ラプソデー」「舟を編む」を見ただけですが。上映は毎週末で、住民のアンケートを基に古今東西から名画を選別するらしいです。中には、「寅さん」とか「釣りバカ日誌」とかのコミックな作品も入っています。

私は個人的には、青春の真っ盛りに(高校が新宿にあったので)、映画館通いしました。しかし、もっぱら 関心は硬派ものばかりで、戦争映画、探偵映画と喜劇映画に集中していました。恋愛ものとか「若草物語」のような女性ものの軟派系は敬遠していました。きっと照れ臭かったのでしょうね。時々「雨に唄えば」「5つの銅貨」のようなミュージカルは見にいった覚えがあります。

名画「嵐が丘」は、それこそ知る人ぞ知る男女の悲劇で、「リア王」「白鯨」と並んで、世界の三大悲劇と例える大学の先生もおられるようです。私はこういった有名な古い名画を積極的に見る気は無かったのですが、暇をもてあそぶような日にふと思いついて、拝見しました。忘れもしないヒースクリフとキャサリンの愛と破局、貴族のような環境のキャサリン、下男のヒースクリフ、まったく異なる人生観、生活環境の二人が激しく愛し合うのですが、キャサリンは愛だけの男についてゆけず、またヒースクリフは純粋な愛しか追求しない。終映後知人の女性が部屋から出てきました。私は「いかがでしたか?あなたなら、どちらを選びますか?つまり、(純粋な愛と、静かで豊かな生活のどっちを?)とお聞きしました。答えは「そうね、やはり両方の真ん中がいいわ」と現実的。

この映画を見た人たちは、映画室を出るときには目を赤くしたして出てゆくのです。さて、今後のスケジュールには にんじん、タンポポ、ドクトルジバゴ、5つの銅貨などの名画が控えているので、次週が待ち遠しいことでしょう。