あのロシアルーブルの危機が突然発生した1998年の夏、私は会社の仲間とセントピータースバーグにいた。その旅行で、私はまさか私たち投資家がロシアの財界のトップと正式のデイナーが予定されているとは、考えていなかったので、ネクタイ着用と係から言われた時には、困りました。ネクタイなど一本も携えていなかったからです。

街に買い物に出かける時間がない。私はもしかしてと思ってホテルのキオスクを覗いてみました。いろいろな雑貨の中に平凡なづ柄のネクタイが一本ありました。「おつ、助かった」とさっそく買ったのですが、そのブランドが忘れもしない“ ヒューゴ ボス”だったのです。

最近ゴルフの世界的トーナメントで目立つのは欧州系の選手のファッションがヒューゴボスということと、アメリカ系の選手がUA(アンダーアーマー)を使い始めたということ。いつか、どこかでヒューゴ ボスのゴルフ用品を買い求めたいと思っていた。ちょうどそういう時期に日経の赤川というベルリン支局の記者がドイツの企業の「戦争時代の、衝撃的な過去の告白の数々」を取り上げて、このヒューゴ ボスも 第三帝国に協力して、大儲けしていた、事実を自社の意思で発表したことを伝えている。

無論その中には強制労働という汚点も含まれる。最近日本企業も戦中の強制労働について保障の要求を突き付けられているが、ドイツ企業は積極的に過去の罪を告白して償おうとする姿勢がみられる。こういうタイプのデイスクロージャーはネガテイブメッセージのはずですが、プラスもあって、顧客は過去の汚点があったからと言って自主的に告白する行為を批判しないで、むしろ受け入れているようなのです。

私は、これからヒューゴ゙ ボス ブランドのゴルフウエアを探しに出かけます。過去を反省して、自らその汚点を公表する勇気をもつ企業が日本には何社あるのでしょうか。