久しぶりにカメラ片手に旅行をしてきました。プロカメラマンの神田さんと私の行く先は房総は勝浦です。安房勝浦、鴨川、小湊、それぞれに懐かしい響きがあります。当日は激しい雨でしたが、私たちはめげずにフォレスターを駆って養老渓谷に乗り込みました。アクアラインは「木更津東IC」まですでに延長していて、あっという間に千葉県のへそというか、心臓部に到着です。そのまま高速道路を下りなければ、さらにこの道は伸びていて首都圏中央連絡自動車道となって茂原経由東金で千葉東金自動車道と交わるのです。ということは、今やアクアラインから入ると千葉県の背骨のあたりをぐるっと左回りに一回りできてしまうということです。東京からの日帰り観光のメッカになるかもしれません。

雨の養老渓谷は冷たく沈んでいてまるで死んだようです。我々以外には観光客が見当たらなかったので、私たちは間違ったことをしているのではないかという錯覚に陥りました。写真を撮るということでは、曇りや雨は厭いません。むしろその方が条件がいいともいえるのです。山の中の農家や森、林が霧の中にかすんでいます。運がよく、道中ほんの10分くらいの待ち合わせで、道路沿いの久留里線を走るデイーゼル車の撮影もできました、また小湊鉄道のオレンジの車両もすれ違いざまに撮れました。

旅をしていると、思わぬこともあるものです。小さな無人駅を覗いて、時刻表を調べて、あと何分待てば車両が通るということがわかります。そこで、線路脇で待ち伏せするわけです。そうですね、鉄っちゃんの初歩的な心得とでも言いましょうか。狭い国道を走り抜け太平洋側の港勝浦に着いた時には、皮肉にも雨は止んでいました。この港は銚子港に次ぐ千葉県第二の水揚げの漁港だそうです。ほかの県の船も入ってくるのですが、もっぱらカツオが有力な商売で、カツオ漁でお大尽になった人が異様に大きな2階建ての屋敷をいくつか残しています。多分、北海道のにしん御殿みたいなものでしょう。

漁港は妙に清潔で、特有の魚臭い匂いもなく、まるで昨日コンクリートを打ったような新しい感じです。きっと東北大震災のとき、同時にここも津波で岸壁がやられたのでしょう。そう気づいてよく眺めると、岸壁はじめ港の設備や建物はみな新築のようです。勝浦は思っていたよりも大きな町で、駅からたくさんの通りが左右に伸びています。散歩がてらに聞いてみました。遠見崎神社の階段を飾る何百というお雛様群とか、秋の勝浦祭りが呼び物だそうです。千葉県は行き止まりの県ですがドライブが楽になりました。