このお二人とは菊川玲という女優と横木安良夫という写真家で、横浜中華街と吉祥寺の町を撮るというプランは、BS151で今まで2週連続で放映されました。私がアマカメラマンなので、この放送を偶然見つけたのだが、結果大いに触発されました。女優は初心者という触れ込みで、プロが易しいデジカメの撮り方を伝授するというもの。企画としては平凡ですが、若干の経験のある、かつ今になって悩めるアマの私にはとてもいい教材になりました。

二人は町を流しながらなんでも興味あるものをスナップ写真として撮ります。それを見ながら、わたしはやはりプロカメラマンの着眼点と、女優の新鮮なまなざしはいいなと感心しました。私だったらあの場面でどういう撮り方をするかな、と、町を撮り歩くことだけは、教室の実習で経験を積んでいる私にはいい題材です。道路際に放ってある箱やのりもの、看板、店のデコレーション、猫、中華街で働く人たち、時には人間被写体に声をかけながら撮っています。

うらやましいのは、女優は有名なので、すぐに狙った被写体が気を許してポーズなどとってくれるし、またプロもその恩恵にあずかっています。中華街では夜になって「最後に別れてひとりで撮ろう」とプロが言い出して、二人は別々の方向に歩き出しました。「1メートル以内のものを撮りなさい」というのが先生の示唆でしたが、「なあるほど、これはメイクセンスだわい」、と私も納得しました。

鳥の目、魚の目、虫の目で見るということは、距離を変えて物事を見よう、判断しようということですから、1メートル以内となると虫の目に近いかなと思います。すべての被写体をアップで処理するということです。レンズも広角系を使うのでしょう。コンパクトカメラを構える女優には難しいことはないのですが、ただ何を撮ればいいのか、、、彼女は利口ですから、あっという間に適応してしまいました。

吉祥寺では同じようにごたごたした町を撮っていましたが、さる服飾の工場の現場に入って(ここがプロと同道するときのメリットです)デザインする若い人、そして創作服装などを撮りました。こうなるとプロの経験がさえます。私たちアマにできることと、できないこと、注意しなければならないこと、ヒント(逆光の使い方など)も入っていて、私は生徒になった気持ちで貴重な放映を楽しみました。菊川玲は美しくかつ利口な人でした。プロの先生は、薄汚い恰好をして髪も乱れていて、(立木さんのように)もう少し映像になることを意識して番組に向き合うべきでした。